石川幹人ゼミナール「夢」グループ

明治大学情報コミュニケーション学部 2015年度 石川幹人ゼミナール 「夢」グループです。

3-3.パリ同時多発テロ発生後

前章に続き、この章ではパリ同時多発テロが起きた後の1週間である2015年11月13日~11月19日に、twitterへ投稿された日本人のテロに関する夢について収拾し、データに基づいて分析した結果を記す。

 

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現地時間で2015年11月13日にテロが起きたので、日本でテロの報道がされ始めたのは14日の未明からである。そのため11月13日はデータ数が少ない結果となった。

上記のように、11月13日を除いて統計を取ると、多い日で1日に56件、少ない日でも30件と、パリ同時多発テロが発生した後は、テロが発生する前に比べて爆発的にテロの夢を見ている方が増加したことが分かった。

 

この章でも前章と同様に全postを分析するが、post数が多いため1日毎の結果を記す。

 

■11月13日 – パリ同時多発テロ当日。(テロの夢:7件)

日本時間で11月13日はまだパリ同時多発テロは起きていないため、7件と少ない結果となった。

この日に得られた夢の7件中7件が「テロに襲われる、巻き込まれる」内容であった。

詳しく分析すると7件中3件は「テロが起きた」との抽象的な内容であったが、4件は「銃撃、化学兵器、爆弾」と武装したテロリストや兵器に襲われる内容であった。

 

次にテロが起きた場所を分析した結果、地元の駅、自宅の前、ショッピングモール、日本の国際空港と様々であったが、夢を見ている方の馴染みが強い場所が現れた結果になったと考えられる。

 

最後に登場人物について分析した結果、この日は特に登場人物について言及しているpostがなかったが、イスラム国の人物がテロリストとして登場する夢を見ている方がいた。

 

■11月14日 – 日本でパリ同時多発テロ発生1日目。(テロの夢:48件、影響:8件)

11月14日になり、日本の各メディアでパリ同時多発テロの惨状が報道され始める。そのためか夢に影響が出始め、14日を境にテロの夢を見る方が爆発的に増加した。

 

この日に得られたテロの夢48件中46件が「テロに襲われる、巻き込まれる」内容であり、その内2件は夢を見ている方が人質としてテロリストに囚われる夢を見ている。

残りの48件中2件は「自らが爆弾魔としてテロを起こす夢、テロに巻き込まれてテロリストの仲間入りをさせられる夢」といったテロリストの立場になる内容であった。

 

詳しく分析をすると、「テロに襲われた、巻き込まれた」内容の46件中34件は「テロが起きた」との抽象的な内容であった。一方で残りの12件は「銃撃に遭う、爆発に遭う、生物兵器によるパンデミック」と武装したテロリストや兵器に襲われる内容であった。

 

次にテロが起きた場所を分析する。

自宅、地元の駅や街、大学や病院と身近な場所から、電車や新幹線といった乗り物、高層の建物やスタジアムといった施設でテロの被害に遭う夢を見ている方がいた。また少数ではあるが、日本国内だけではなく、海外旅行中、アフリカ、ロシア、フランスでテロの被害に遭う夢を見ている方もいた。

中には「パリがテロに遭っている様子」を見る夢、「テロが起きて混乱しているパリの街並を歩く」夢を見る方がおり、パリ同時多発テロから強い影響を受けたのではないかと考えられる。

 

続いて登場人物について分析をした。

「テロの被害に遭う」という抽象的なpostが多かったため、テロリスト以外の登場人物がほとんど現れない結果となった。しかし1人の方が「テロの被害に巻き込まれ、奥さんが亡くなる」といった内容の夢を見ていた。

 

最後にパリ同時多発テロに影響を受けたとされる8件の夢について分析をする。

この8件はテロとは直接関係はないが、テロの報道の影響から見たのかもしれないと言及している方のpostからデータを収集した。

この8件の夢の大半は「フランスあるいはパリに滞在している、訪れる夢」を見ている。また「フランス人の友達が出てくる夢」、「エッフェル塔に人質がいる夢」を見ている方もおり、テロとは直接関係が無いが、「フランス・パリ」が夢に強い影響を及ぼしていると考えられる結果となった。

 

■11月15日 – パリ同時多発テロ発生2日目。(テロの夢:41件、影響:8件)

前日と比較すると夢の数は少し減ったが、パリ同時多発テロが発生する前と比較するまでもなく十分な件数である。

 

この日に得られた41件中37件が「テロに襲われる、巻き込まれる」内容の夢であり、2件が「テロリスト、テロ組織と戦う」内容の夢、2件が「夢の中でもパリでテロが起きる夢」、「警察組織のようなものがテロに対応をしている夢」といった内容の夢であった。

 

詳しく分析をすると、「テロに襲われる、巻き込まれる」内容の夢である37件中28件は「テロが起きた」という抽象的な内容であったが、残りの9件は「銃撃に遭う、爆発に遭う、火事に遭う」といった武装したテロリストや二次災害に襲われる内容であった。

 

次にテロが起きた場所について分析する。

この日は地元の街や学校といった馴染みの深い場所でテロが起きる夢を見ている方は少なく、国民的テーマパークや遊園地、温泉、船上、空港、日本、フランス、外国でテロの被害に遭う夢を見ている方が多かった。また「外国で働いていて、テロの現場の近くに出前を届ける」という内容の夢を見ている方がおり、テロが夢に影響を及ぼしたのではないかと考えられる。

 

続いて登場人物について分析する。

「テロが起きた」と抽象的なpostが多かったため、テロリスト以外の登場人物が現れない夢を見ている方が多かった。しかし「大人と子供」や「人混み」のように夢を見ている方と直接の関係がない人物が登場人物として現れている方もいた。

 

最後にパリ同時多発テロに影響を受けたとされる8件の夢について分析する。

前日ではフランスやパリに関連する夢を見ている方が大半であったが、この日は「戦争の夢」、「何者かに追い掛け回され、殺される夢」、「イスラム国の人物と関わる夢」、「通り魔に襲われる夢」、「怖い夢」など、夢を見ている方にとって恐怖となる内容の夢を見ていることが分かった。テロの内容は一切現れていないが、テロという恐怖から夢に影響を及ぼしているのではないかと考えらえれる結果となった。

 

■11月16日 – パリ同時多発テロ発生3日目。(テロの夢:32件、影響の夢:9件)

前日に比べ、緩やかに数が減少する結果となった。しかし影響を受けたであろう夢は変わらず9件のデータが得られた。

 

この日に得られた32件中30件が「テロに襲われる、巻き込まれる」内容の夢であり、1件が「政府に反旗を翻すためにテロ活動をする」内容の夢、もう1件は「テロが原因でゲームができなくなる」内容の夢を見ていた。

詳しく分析をすると、30件中26件は「テロが起きた」という抽象的な内容であったが、残りの4件は「銃撃に遭う、爆発に遭う、生物兵器に襲われる、テロの被害により飛行機が墜落する」といった武装したテロリストや、兵器に襲われる、またテロの被害によって事故が起きる内容の夢であった。

 

次にテロが起きた場所について分析する。

「テロが起きた」という抽象的な内容のpostが大半を占め、自宅や地元といった、夢を見ている方の身近な存在である場所が1つも無く、他の日に比べて稀な結果となった。

この日は電車や新幹線といった乗り物、日本、パリ、ドイツ、ハワイ、リオデジャネイロといった世界各国でテロが起きる夢を見てる方がいた。また学園祭というイベント中にテロが起きる夢を見ている方がおり、珍しいデータを得ることができた。

 

続いて登場人物について分析する。

この日も「テロが起きた」という抽象的なpostが多かったため、大半がテロリストが登場人物の夢であった。しかし登場人物について言及されている夢が2件あり、1件は「家族と友達で旅行中にテロに巻き込まれる夢」であり、もう1件は「芸能人がテロに遭い、射殺される夢」であった。夢を見ている方自身がテロの被害に遭うのではなく、芸能人が被害に遭うといった内容を見ている方がおり、メディアから夢に影響が及ぼされたのではないかと考えられる。

 

最後にパリ同時多発テロに影響を受けたとされる9件の夢について分析する。

9件中3件はパリ、ヨーロッパに旅行をする、滞在する内容の夢であった。

残りの6件は「戦場から逃げる夢」、「何かから逃げ隠れる夢」、「後味の悪い夢」、「物騒な夢」、「人質になる夢」など、テロと直接関係はないが、夢を見ている方にとって恐怖となる内容の夢を見ていることが分かった。

「パリ」に影響を受け、夢の中でその土地に赴くといった内容、「テロ」に影響を受け、夢の中で恐怖に怯えるといった内容と大きく分けられた結果となった。

 

■11月17日 – パリ同時多発テロ発生4日目。(テロの夢:25件、影響の夢:11件)

テロ発生から緩やかにテロの夢を見る数は減少しているが、影響を受けたとされる夢は変わらず横ばいの結果となった。

 

この日に得られたテロの夢の25件中23件が「テロに襲われる、巻き込まれる」内容の夢であり、1件は「テロの映像が出てくる」内容の夢、もう2件は「テロから人を守る、阻止するために戦う」内容の夢であった。

詳しく分析すると、23件中19件は「テロが起きた」という抽象的な内容であったが、4件は「爆発に遭う、サイバーテロに遭う、生物兵器に襲われる」という武装したテロリストに襲われる、またインターネットを用いたサイバーテロに巻き込まれるといった内容であった。

 

次にテロが起きた場所について分析する。

この日は半数が「テロが起きた」という抽象的な内容であり、残りは実家、学校、エレベーター、高層ビル、遊園地、日本、アメリカと身近な存在から世界各国と様々であった。

中には「東京で起きたテロの影響で、首都が大阪になる」といった内容の夢を見ている方がいるデータが得られた。

 

続いて登場人物について分析する。

この日は「テロが起きた」という抽象的な内容のみで、テロリスト以外の登場人物について言及されているpostがなかったため、記すことはない。

 

最後にパリ同時多発テロに影響を受けたとされる11件の夢について分析する。

11件全てが「ロボットに追い掛け回される夢」、「銃で撃たれて苦しむ夢」、「子供が撃たれる夢」、「銃を乱射する人がいる夢」、「殺し合いをする夢」、「ハイジャックされる夢」、「戦争の夢」、「爆発する夢」、「悪夢」、「グロい夢」といった恐怖の対象から逃げる、襲われる内容の夢を見ていた。中にはテロのような内容の夢を見ている方もいたが、投稿者がテロと言及していないため、影響を受けたとされる夢として分析をした。

連日のパリ同時多発テロの報道から影響を受け、後味の悪い夢を見ているのではないかと考えられる結果となった。

 

■11月18日 – パリ同時多発テロ発生5日目(テロの夢:24件、影響の夢:6件)

テロの夢、影響を受けたとされる夢の両方が、テロ発生から着実に減少の傾向を見せている結果となった。

 

この日に得られた24件中 22件は「テロに襲われる、巻き込まれる」内容の夢であり、1件は「テロを防ぐためにテロ組織と戦う」内容の夢、1件は「テロリストの仲間になる」内容の夢であった。

詳しく分析をすると、22件中18件は「テロが起きた」という抽象的な内容の夢であり、3件は「銃撃に遭う、化学兵器の被害に遭う」内容の夢であった。残りの1件は「友達が殺される」内容の夢であった。

 

次にテロが起きた場所について分析をする。

この日は自宅や地元などの身近な存在である場所は登場せず、プールやレストラン、温泉、山岳地帯といった娯楽施設から自然、日本やメキシコ、パリといった世界各国が登場した。

 

続いて登場人物について分析をする。

この日も「テロが起きた」という抽象的な内容が大半を占めており、テロリスト以外の登場人物が現れる夢は、最初の項目で記した「友人が殺される」夢の1件のみであった。

 

最後にパリ同時多発テロに影響を受けたとされる6件の夢について分析をする。

6件全てが「怖い夢」、「武装した人に追われ、銃撃される夢」、「人質になる夢」、「酷い夢」、「武装した兵士に追われる夢」といった、いずれも何者かに囚われる、追われる、恐怖となる内容の夢であった。

パリ同時多発テロが発生して5日が経過するも、連日報道されるテロの惨状が人々に恐怖を与え続けているのではないかと考えられる結果となった。

 

■11月19日 – パリ同時多発テロ発生6日目。(テロの夢:37件、影響の夢:7件)

テロが発生し、6日が経過した11月19日は、落ち着きを見せてきたテロの夢を見ている方の件数が増大した。

 

テロの夢の37件中33件が「テロに襲われる、巻き込まれる」内容の夢であり、4件が「テロ組織に反撃する、テロから守る、テロリストを捕まえる」内容の夢であった。

詳しく分析をすると、33件中29件が「テロが起きた」という抽象的な内容であったが、3件は「生物兵器に遭う、爆発に遭う」といった兵器に襲われる内容の夢であり、1件は「テロリストに囚われ、人質になる」内容の夢であった。

残りの4件は全て「テロ組織に対し、反抗心を向けている」内容の夢であり、「テロの被害を受けるも、反撃をする夢」や「テロを企てているテロリストを捕らえる夢」は今までにない内容であった。

 

次に場所について分析をする。

この日は学校や電車、飛行機といった身近な存在から、新宿や東京、埼京線といった日本の土地、フランス、ドイツの大使館と世界各国が登場した。このフランスの夢を見た方は、「フランスに旅行をしている最中にテロに遭う」夢を見ていた。

 

続いて登場人物について分析をする。

この日はテロリストの他に、友達や見知らぬ女の子、女の子の集団が登場する夢を見ている方がいた。友達が登場した夢では、友達が殺される内容であり、見知らぬ女の子が登場する夢では、一緒にテロから逃げる夢を、女の子の集団が登場する夢では、集団がテロを起こす内容の夢であった。

 

最後にパリ同時多発テロの影響を受けたとされる7件の夢について分析をする。

7件中5件が「殺される夢」、「爆発が起きる夢」、「フランスで銃撃を受ける夢」、「戦争の夢」、「爆弾に追われる夢」といった兵器に襲われる、恐怖となる内容の夢であった。

また1件は「爆弾から自宅を守る夢」であり、残りの1件は「テロの資料を探す夢」と異質な内容であった。